2024年10月23日
月経痛とはなんでしょう。
月経とは、子宮内膜が剥がれ落ちることです。(子宮内膜は子宮の内側の膜(そのまま、ですね。))月経が終わり、次の月経がくるまでの間を1周期とすると、月経が終わり、うすーくなった子宮内膜が徐々に厚くなり(これは妊娠するために卵を迎えやすくする準備です)、妊娠しなかった場合は、また子宮内膜が剥がれ落ちます。この周期を繰り返しているわけです。この周期の日数は個人差はありますが、概ね28日〜30日くらいであることが多いです。この、内膜が剥がれ落ちたものを子宮は収縮することで外に押し出します。これが経血(生理の時の血のこと)です。この、収縮するときに生成されるホルモン、プロスタグランジンの一種が、痛みをもたらす原因といわれています。腹痛だけでなく、腰痛や、頭痛を感じる人もいます。
月経痛を軽減するには。
①プロスタグランジンをなんとかする。
鎮痛剤、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)(ロキソニン、イブプロフェンなど)はプロスタグランジンの生成をおさえることができます。ここで、ポイントなのは、痛くなる前に、痛くなりきる前に鎮痛剤を飲むことです。よく、なるべく飲まないようにしています、限界まで我慢してどうしてもの時は飲みます、なんておっしゃる方がいらっしゃいます。我慢強いのは、人生において素晴らしい能力の一つだと思いますが、月経痛においては我慢はしない方が、薬がよく効きます。原則として15歳未満の方にはNSAIDsは使えませんのでアセトアミノフェンを使用します。こちらは脳の痛みを感じる部分に働きかける薬です。上手に使えば痛みのコントロールはできものではありますが、こちらも痛くなってから飲んでもあまり効かない、ということはよくあることです。やはり、痛くなる前、痛くなってすぐ、飲んで欲しい薬です。
②月経量を減らす、月経の回数を減らす。
こちらはホルモン療法で可能です。低用量ピルや、黄体ホルモン製剤(黄体ホルモンとは女性ホルモンの一種です)の一種であるジェノゲスト、または子宮内に留置する黄体ホルモン(ミレーナ)などがあります。こちらは月経そのものをコントロールできるので、根本的に改善する、ということになります。月経痛の中でも、子宮内膜症や子宮腺筋症などある程度はっきりと原因となる疾患があるような場合は特にホルモン療法が良いと思います。
③漢方療法もあります
ホルモン治療が禁忌の方、効果が不十分だったり、あともう一声治療効果が欲しい時、など漢方の出番は結構多いです。婦人科三大処方(そういうのがあるんですが)の当帰芍薬散、加味逍遙散、桂枝茯苓丸、をはじめとしてたくさんの漢方があります。この3つはドラッグストアでも並んでいるので、見たことがある方も多いかもしれません。粉薬が多いのと、少し変わった匂いがするものも多いので、苦手な方もいらっしゃるとは思いますが、飲み方の工夫で案外すっきり飲める場合もあります。あと、漢方はものすごくたくさん種類があるので、匂い、味も様々ですし、前に飲んでダメだった・・・方でも漢方は無理!!と言わず、また試してみて欲しいなあと思います。
月経痛の原因はセルフではわかりません。
月経痛にセルフメディケーション、とても良いと思います。最近はセルフメディケーションは推進されていますし、忙しい方には大助かりですね。しかし、子宮内膜症や子宮筋腫など、診察しなければわからないような月経痛の原因はたくさんあります。月経痛が辛いけど、婦人科には行ったことがない、という方、ぜひ一度婦人科で相談してくださいね。思わぬ病気が見つかることもあります。婦人科で診察なんて嫌だなあと思う気持ち、よくわかります。受診しやすい空間になるよう、スタッフ一同頑張って参ります。