2024年11月07日
漢方とは
漢方とは、西洋医学(いわゆる、現代の医学ですね)が生まれるずっとずっと前から何千年もの間行われてきた東洋医学の一種です。漢方薬とは、さまざまな生薬の組み合わせによって、その人の体質に適したからだの症状に対応できるものです。何千年もの歴史の中で、実際に治療効果があった生薬の組み合わせが今日まで伝わり、さまざまな漢方製剤として治療に使われています。
西洋医学との違い
西洋医学と異なり、漢方は太古の昔から行われてきた医療だと前述しました。まだ採血やレントゲンがなかった時代、どのように患者さんを診ていたのでしょうか。情報は表面からの見え方(視診にあたります)、触った感じ(触診にあたります)などだったと思います。そこから、どこに不調があるかを見つけていたわけですが、そこで『気・血・水』の考え方が出てきます。気・血・水についてはホームページで少しお話しておりますので、ご覧いただけますと幸いです。https://ny-tutuji.com/medical/medical06/
気 血 水
気
『気』は気力の気。気が不足すれば、やる気がおきない、落ち込む、などの症状が出ますし、気が逆流すればイライラしたりする症状が出ます。更年期障害、月経前症候群(PMS) ではこんな症状が出る人も多いのではないでしょうか。
婦人科3大処方であてはめると、加味逍遙散が処方される場合が多いです。
血
『血』は体に流れる血、からだに栄養をもたらす液体、と言われており、現代でいうところの血液、より少し広い概念をもっています。血が足りない→血が失われる、これはまさに生理のことですよね。生理がある女性は常に血が足りない=血虚に悩まされていると言っても過言ではないと思います。貧血は血虚にもちろん含めるのですが、採血して貧血がない場合でも月経量がすごく少ない、血が薄い感じ、とか、皮膚がカサカサする、なども血虚の症状です。貧血がないのに血虚、となるのは、やはり血の概念自体が採血検査がない時代にできたものだからだろうと思います。血が滞る→お血(瘀血)です。意外にご存じの方もいらっしゃいますよね。(私は産婦人科医になるまで全然知りませんでしたので、最近の漢方医学の広がりを感じます)生理の時に血の塊がごろごろ出る、しみ、にきびができやすいなどの症状が挙げられます。
婦人科3大漢方であてはめると、血虚には当帰芍薬散、瘀血には桂枝茯苓丸が処方されるケースが多いです。血虚、瘀血が両方あるケースは両方が処方されることも。
水
『水』は血以外の、汗や唾液、帯下などのような分泌液や排泄液など体の水分の総称で、体に潤いをもたらすものです。臓腑や筋肉、皮膚、髪の毛、粘膜などを潤し正常に保ったり、関節を潤し円滑に動かす手助けをしたり、ときには尿や汗、鼻水となってカラダに溜まった老廃物を体外へ排出するなど幅広く活躍しています。
水が足りない→陰虚(水虚っていわないの?最初は覚えにくかったです・・)、体が乾燥し、潤いが足りないと乾燥によるトラブルが起こりやすくなります。年齢とともに水は不足していく傾向があり、水分が足りないと相対的に熱がこもりやすくなると言われています。更年期によくみられます。水分を保つのが苦手な状態になっているので、運動して汗をびっしょりかくようなことはあまり勧めません。サウナも同様ですね。(サ活は陰虚を改善してから・・)水泳は良いようです。ただし、水分補給はお忘れ無く。
水が滞る→水滞 水が溜まれば、むくみますね。血虚で血が足りないところが水で埋められて、相対的に水が過剰になるようなことが女性には多いようです。生理がまさにそうですね。水分摂取しすぎは水分をためこみますし、汗をかいていないのも水分をためこみます。特に秋冬は、むやみに水分をとるよりも、白湯をゆっくり飲むような摂取方法がおすすめです。筋肉量をアップさせるのも良いです。筋肉は体のポンプの役割をしてくれるので、余分な水分を流してくれます。
水滞がある場合は、婦人科3大漢方では水をさばく生薬がたくさん含まれている当帰芍薬散が選ばれるケースが多いですが、加味逍遙散にも桂枝茯苓丸にも水をさばく生薬が含まれます。それくらい女性は昔からむくみ、に困っていたのかもしれません。
漢方では体の一部分だけにスポットをあてるのではなく、体全体の状態のバランスを気血水などさまざまな指標を用いいて総合的にみていきます。病名がなんともつきにくいような、「不調」が得意なのも特徴です。これって病気なの?病気じゃないと言われたけど・・・のようなことがある方はぜひ一度相談してくださいね。