2026年2月23日
ジェノゲスト(黄体ホルモン製剤)について
― 月経のつらさをやわらかく整える治療 ―
ジェノゲストとは?
ジェノゲストは、ピル(低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬)とは異なるタイプのホルモン剤で、黄体ホルモンのみを含むお薬です。
『ピル』に比べるとまだまだなんの薬か知らないな、という方は多いのではないでしょうか。ピルを内服したい!と来院される患者さんは多いのですが、問診の段階でピルは禁忌となってしまう方がいらっしゃいます。そんな時に他に手がないか、というとそうではなく、ジェノゲストが適応になることが多いです。
ピルが飲めない場合のみに検討されるのではなく、ピルと並列して月経困難症の治療薬としてご選択いただけるお薬です。
主に次のような疾患の治療に使用されます。
・月経困難症
・子宮内膜症
・子宮腺筋症
女性ホルモン(エストロゲン)の働きを穏やかに抑えることで、痛みや出血を軽減することを目的としています。
ピルと比較したときの特徴
良い点:血栓症リスクを上昇させない
ピルにはエストロゲンが含まれており、体質や年齢によっては血栓症のリスクが問題になることがあります。ジェノゲストはエストロゲンを含まないため、血栓症リスクが高い方や、ピルを使用できない方にも選択しやすい治療です。
注意点:不正出血が起こることがある
ピルと比べると、飲み始めの時期に不正出血がみられることがあります。
多くは時間の経過とともに落ち着きますが、低用量ピルと比べると落ち着くまでの時間が比較的長期になる方が多いです。不正出血の量は往々にして少ないのですが、いつ出血するかわからないという点はやはりデメリットであると思います。
不正出血があるからと言って、薬が効いていないだとか、すぐに対応しなくてはいけない、ということはなく、貧血になるほどの出血でなければ様子をみていただいて構いません。また、なかなかこの出血をピタリと止める方法がないのが現状です。止血剤や、漢方内服、短期間の休薬などの対処をしますが、確実にコントロールできるわけではありません。
(※貧血になるほどの出血:一度に今までみたことがないほどどっと出血する、ジェノゲストを内服する前の普段の生理のピーク時レベルの出血が4−5日続く・・など。)
→ 不正出血はあるけど、少しではあるし、なにより腹痛がなくなったので楽です。とおっしゃる患者さんが非常に多いです。
どのような方に向いている治療?
・ピルが禁忌などで飲めない方、体質的に合わなかった方
・片頭痛、喫煙習慣などがありピルが使いにくい方
・40代以上で血栓症リスクが気になる方
・子宮内膜症や子宮腺筋症を長期的にコントロールしたい方
このように、幅広い年代の方に検討できる治療選択肢です。
10代の方にも使えるの?
「若いうちからホルモン剤を使って大丈夫ですか?」というご質問をいただくことがあります。国内外の研究では、ジェノゲストによる骨密度への影響は大きくないと報告されています。特に、強く女性ホルモンを抑える治療(いわゆる偽閉経療法)と比較すると、骨への影響は軽度とされています。
ただし、10代は骨が成長途中の大切な時期です。
上記のように過度に骨密度への影響を心配する必要はありません。必要性を慎重に判断した上で、ホルモン剤内服をすることはもちろんですが、適切な食事、生活をすることで骨密度をしっかりと獲得することが大事だと思います。
骨の健康を守るために大切なこと
ジェノゲストの骨密度への影響は多くないとされていますが、骨を守る生活習慣はとても重要です。
ビタミンD不足に注意
ビタミンDは、紫外線を浴びることで体内でも作られます。
しかし、このような方は、知らないうちにビタミンDが不足していることがあります。
・美白を意識している
・毎日日焼け止めをしっかり使用している
・紫外線対策を徹底している
・屋内で過ごす時間が長い
ビタミンDはカルシウムの吸収を助ける大切な栄養素です。
カルシウム不足にも注意
カルシウムは、乳製品、小魚、大豆製品、青菜などに多く含まれます。
・乳製品が苦手
・魚をあまり食べない
・食事が偏りがち
このような場合は、カルシウムが不足していることがあります。
サプリメントの活用も選択肢
食事だけで十分な摂取が難しい場合は、サプリメントでの補充を検討することも一つの方法です。
特に、
・紫外線対策を徹底している方
・乳製品が苦手な方
は、ビタミンDやカルシウムの補充を検討してみてもよいと思います。当院でもサプリメントは扱っておりますので、気になる方はぜひお尋ねください。
まとめ
ジェノゲストは、
・血栓症リスクが低い
・月経痛や子宮内膜症、子宮腺筋症の症状を抑えることが期待できる
・幅広い年代で使用可能
という特徴を持つ治療です。
骨密度への影響は大きくないと報告されていますが、カルシウム・ビタミンDを意識した生活習慣を整えることが、より安心な治療につながります。
治療の適応はお一人おひとり異なります。
気になる症状やご不安があれば、どうぞお気軽にご相談ください。