2025年6月03日

『しあわせは食べて寝て待て』から学ぶ漢方
NHKドラマ『しあわせは食べて寝て待て』はご覧になっていましたか?私は以前朝ドラに出演されていた女優さん、桜井ユキさんが素敵なので観てみたのですが、結構話題になったドラマだったようですね。地味に見えるけれども滋味な料理にゆるーく薬膳が盛り込まれていて観ていると癒されるドラマでした。放送は先日終わってしまったようですが配信で観始めたばかりなので、これからが楽しみです。
先日まで私は咳に悩まされていて(何人かの患者さんはああ、あの時と思われるかもしれません)、すごく心に響くエピソードがあったのでご紹介します。
1話 『杏』 はのどに良い
1話で杏が喉に効く〜というエピソードがあったのですが、漢方にも杏、杏仁があります。杏仁とは杏仁豆腐の杏仁のこと。漢方だとアンニンではなく、キョウニンと呼ばれます。喉がイガイガするおばあちゃんが、スーパーで杏仁豆腐と他のスイーツで悩んでいたら、『喉の調子が悪いなら杏仁豆腐が良いですよ〜』というくだりでした。
杏仁が含まれる漢方
杏仁が含まれる漢方は麻黄湯、麻子仁丸・・などあるのですが、喉の処方ということで【麻杏甘石湯】について本日は解説したいと思います。
麻杏甘石湯とは
麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)は、咳や喘鳴(ゼーゼーする呼吸)を伴う急性の呼吸器症状に用いられる代表的な漢方薬です。
主に、風邪の初期〜中期で咳が強く、痰は少なく、喉や胸が苦しいという症状に用いられます。
💊 麻杏甘石湯の構成生薬(4つ)
麻杏甘石湯の構成生薬と働き
生薬名
主な作用
麻黄(まおう)
発汗・鎮咳・気管支拡張作用
杏仁(きょうにん)
咳を鎮める、痰を除く、肺を潤す
甘草(かんぞう)
炎症を和らげ、諸薬の調和を取る
石膏(せっこう)
強い熱を冷まし、肺の熱を取る
🍑 杏仁が「喉に効く」とされる理由とは?
漢方医学では「肺は喉を司る」とされ、肺の状態が喉の不快感や咳に大きく影響すると考えられています。
杏仁には以下のような作用があります:
肺を潤して咳を鎮める(潤肺止咳)
→ 乾いた空咳や、声のかすれに有効
痰を出しやすくする(化痰作用)
→ 呼吸器にこもった熱や痰を緩和
肺気を下げて喘鳴を抑える(降気平喘)
→ 気の上逆を抑え、スムーズな呼吸へ
そのため、乾燥した環境や、喉を酷使した後などに、杏仁を含む食品や漢方は喉に優しいサポートとなります。
その他、油分で腸に潤いを与えて便痛改善する効果も。
☕ ご家庭で取り入れやすい「杏仁薬膳」をchatGPTに尋ねてみたら・・
杏仁豆腐(白きくらげ入り):潤肺・美容に◎(ふつうの杏仁豆腐でも良いかな?)
梨と杏仁のスープ:乾燥性の咳に (作るのは難しそう・・)
杏仁茶:喉の乾きや声枯れに
とのこと。あまり簡単に取り入れられる料理はなかったですが・・
普通の杏仁豆腐は喉が痛くてもつるんと入るので、薬膳云々を考えずとも良さそうですね。
ドラマではドライ杏をゆっくり食べてね、とも言ってました。それは取り入れやすいですよね。
📝 まとめ
杏仁は「肺」を潤す働きがあり、咳や喉の不快感に有効
麻杏甘石湯は、杏仁を含み、喉や気道の炎症を鎮める漢方薬
咳や喉の不調には、薬膳や漢方の知恵を上手に取り入れるのがポイント
喉が乾燥しやすい季節や、声をよく使う方にとって、杏仁はまさに“自然の恵み”。
忙しい日々のなかに、少しだけ漢方の視点を取り入れて、体と心を労わってみてはいかがでしょうか?